天と地とテノチティトラン2

私はロボットではありません

愛をください

リスについてお話しします。

 

私はかつて、リスを飼っていました。

私は、と言うと語弊があります。

私の家族が飼うことを希望したからです。

 

初めて生き物を飼うということもあり、私は事前にリスについて多くを学びました。

特に、リスの心理状態を表す行動については注意深くありたいと思い、幾つもの行動パターンを予習していました。

 

その中でも、リスに過度なストレスがかかっている状態を表す、「左右にステップを踏む」という行動は、その音も相まって私の脳裏に焼き付いたまま離れません。

 

リスは、我々の家族である(と我々が一方的に考えていた)間、左右にステップを踏み続けました。

 

家族は、「リスのダンスだ、」といって、それを愉しみました。

 

リスは、ステップを踏み続けました。

 

そのうち、家族はリスにひまわりの種をあげることをやめました。

 

リスは、ステップを踏み続けました。

 

母は毎日リスの世話をしていましたが、すぐに檻(それはまさしく檻だったのでしょう。実際はカナリアか何かを飼育するための鳥籠だったと記憶しています)から脱走し、日に日にリスに嫌気がさしているように見えました。

 

リスは、ステップを踏み続けました。

 

ある日、酒に酔った父は、リスがステップを踏むのを目障りに感じ、鳥籠を布で覆ってしまいました。

 

リスは、それでもステップを踏み続けました。

 

タンタンッ、タンタンッ、タンタンタンタン

タンタンッ、タンタンッ、タンタンタンタン

 

リスは、毎日ステップを踏み続けました。

 

タンタンタンタンッ、タンタンタンタンッ、

 

リスは、死ぬまでステップを踏み続けました。

 

タンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタン

 

リスは死にました。

 

私は、涙も出ませんでした。

人間は、この地球をいつかドでかい動物園にする気です。

 

私は将来、動物を飼うことは無いだろうと思います。

 

生存競争は、支配ではないのです。

 

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