天と地とテノチティトラン2

私はロボットではありません

地面下の星たち

深夜の地下街を歩く。


深夜の地下街を歩いていると、ふと通り過ぎる顔が自分の人生から消えてしまった彼、もしくは彼女のように見え、慌てて目を伏せることがしばしばある。


ある場合は正に「その人」であり、他の場合は遺伝子のいたずらとでも言うべきか、何億といる黄色人種の顔パターンに限りがあるという事を考えさせられる、ただの空似である。


彼(思い浮かんだ人物がたまたま男性であったので便宜的にこう呼びたい。)は、はたして自分から進んでなのか、そうすることを余儀なくされてなのかはわからないが、ある時を境にぱったりと我々の人生から消えてしまった。


我々に何のヒントも残さずに。


そしてそのような「彼」は、歳を重ね人と出会えば出会うだけ生まれてしまう。


記憶の、精神の中だけの存在。
どのようなコンタクトも受け付けず、まるで始めからいなかったかのような存在となり、ついには忘れられていく。
他人の空似によって一時的に思い出され、数分後には元の闇へ戻っていくだけの悲しい宿命を負った人になる。


そしてある時、我々は一つの事実を思い知る。


同様、我々自身が消えてしまう事もあるのだ。


誰かにとって、我々が記憶の中の存在になり、そこからさえも最後には消えてしまう。


都会の星のような存在。


誰も見ようとせず、ある変わり者によって時より眺められ、その後跡を濁すことなく忘れられる。


地上の光の強さに勝ることなく、弱い光を放ち続ける命の欠片。

 

 

(2015年11月29日 Evernoteより)

 

(追記:文章はここで途絶えているが、過去の思考・文体などを記録するものとして再編集し、ここに再掲する。決して、今日本日、文章を書くのが面倒になった訳ではない、と強調しておく。)