天と地とテノチティトラン2

私はロボットではありません

石油ストーブにおねがい

なんか冬だなと思った。

 

 

今日も川沿いのコンビニの前で朝の名残を惜しんだ後、ギリギリの電車で勤めへ。

 

閉まりかけのドアに滑り込んだ瞬間、空気中に漂う成分の配合が俺の鼻に錯覚を起こさせた。

 

石油ストーブの匂いがする。

 

小学校と中学校では冬になると石油ストーブで暖を取っていたように記憶している。

 

刹那、蘇る記憶。

中学の美術室は特にこの匂いがした。

おそらく一日中換気をしていなかったのだろう。絵に関しては文章よりも遅筆なので、よく居残りをさせられた。時間をかけて描いた絵は誰よりも下手だった。

 

暫時留まったあと、薄れゆく記憶。

 

次の駅、大量のサラリーマン。

下品な香水の匂い。

中年になってもこの匂いにだけはなりたくない。

 

もう石油ストーブの匂いを思い出そうとしても全然出てこなくなってしまった。

 

仕方なく、白い恋人達を聴く。

冬になると必ず聴いていた曲だが、今年はまだ聴いていなかった。知ることは、忘れることだ。

 

匂いは戻らない。

気持ちだけが昔へ飛んで行きそうになる。

なんとか引き留めて正しい駅で降りる。

 

今日は12月24日か。

なんか冬だなと思ったよ。

 

白い恋人達

白い恋人達