俺がいつも遅刻ギリギリの電車で職場へ向かっているというのは昨日の記載内容からも明らかなのだが、今日はさらにその上を行く出来事が起こったのでしたためておきたい。てかそれ以外に書くことがない。クリスマスなのに。クリスマスって何だ。まあいいや。
何が起こったかというと、今日も今日とて当たり前の如く始業3分前に着席する計算で(この時点で既に計算と呼べるかどうか怪しいのだが)電車に乗っていた。すると突如80年代にサザンオールスターズがリリースした曲たちがシティポップすぎて堪んないという気持ちになり、おもむろにApple Musicでプレイリストをポチポチと作り始め、ルンルン気分で出来上がったものをTwitterに投稿。さて、そろそろ電車を降りるかと窓の外を見たえええええええええええ!?!?!?!?!?
どこだコレぇぇ!?!?!?!?
毎日毎日同じ車窓を見てる俺に一瞬たりとも知らない車窓は無い。無いのである。だがしかし、今見ているコレは?知らない。はい終了。終わり。遅刻間違いなし。時計は既に始業7分前。いつも始業8分前に最寄駅に着いているから言わずもがなわかる。皆まで言うな。乗り過ごしました。
いつも降りている駅の先にも線路があるとは。ゲームか何かの世界に生きていると思っていた俺は降りるべき駅の先にもしっかりと続きの世界がプログラムされているこの現実とかいう化け物オープンワールドを恨んだ。クソみたいな世界だな。どうやって説明すればいい?ボーッとしてたら正しい駅で降りれませんでした。は?ボーッと生きてんじゃねえよ。いや、厳密にはかなり集中してたからボーッとはしていない。しかしApple Musicでプレイリスト作ってたら乗り過ごしました、なんて言うくらいなら寝坊しましたと嘘ついたほうがマシ。いやまじヤバイ。俺という人間がまじヤバイ。
無慈悲に流れゆく知らない車窓。俺はどうすればいい?気がつけば電車にサラリーマン風の人間は俺一人。そらそうか。もう始まるってのにこんなところにはいないか。どうする。どうする。
あ、
まだあと6分ある。
うん、いけるんじゃないか?
今までそうやって来ただろう。
心の奥の方から謎の自信が湧いて来た。
走るぞ、俺。
電車が次の駅に着き、ドアが開いた瞬間俺は完璧なスタートダッシュを切った。ホームの階段を降り、改札には見向きもせず反対のホームへ。そこへちょうど電車が到着。老人たちの群れをかき分けて乱入する割と若いサラリーマン風の男。あと5分。
正しい駅に着くまでは脳内フル回転。到着したら3分前か。駅の外まで1分、そこから2分、考えうる最短経路を通れば可能性はある。デビルバットゴースト。
ドアが開いた!大股かつ歩数を多くして足を早く動かす。チーターの走り方だ!速さを求めて俺はチーターになった!!チーターに似た顔になった!!!
あと2分。
最後の直線ストレートだ。いける。いくんだ。俺は風だ。チーターの顔をした風だ。ぐんぐん近づく職場。ろくに起きていない体は急激な運動に悲鳴を上げている。息ができない。でも走る。走れ、俺!セリヌンティウスはいなくとも、俺のメンツってものがある。いや、べつにない。けど走る。もはや何故そこまでして走っているのかもわからない。この前サイレント遅刻した時も何も言われなかったしべつに走らなくてもよくね?というフィロストラトスのささやき。時間にルーズな職場です。はぁ、何やってんだクリスマスだぞ今日。てかクリスマスって何だ。まあいいや。
もう時計は見ない。出しうる限りのスピードで正面玄関に突入、しようと思ったが自動ドアの開く速さが徒歩でもぶつかりそうなほど遅いのを思い出して一瞬足踏み。まだチャイムは鳴っていない。やった。しめた。でかした。
タイムカードを取り出す!シュッ!!キーンコーンカーンコーン…ブザービート。
まあ、うちのタイムカードのシステムは始業時間ちょうどまでならば遅刻にならないので、実際はあと59秒猶予があったわけだが、何たる達成感だろうか。俺は運命に勝った。もう今日の仕事は終わったも同然。寝ててもいいくらい。
てなわけで今日は本当にその後特に仕事をすることもなく、定時になったら即帰りましたとさ。
めでたしめでたし。