なんとなく思い立って半年ぶりに蕎麦を湯がいた。
俺は一人暮らしを始めてから、夏場になると3日に1回から1週間に1回ほどのペースで晩飯にざるそば2束・ウインナー2〜3本(もちろん蕎麦と一緒に茹でる)・サラダ・納豆という定型メニューを食べている。俺が考えうる中で最も時短調理できるメニューでありつつ、好みの食べ物であるという一石二鳥のシロモノだからだ。
しかし、冬になるとあったかい食べ物が食べたいという欲が幅を利かせるため休業する。ざるそばは冷水でしめなければざるそばではないから。仕方ない事なのだ。
ただ今日の俺は一味違った。頼れるものは蕎麦しかない。ドン・キホーテで5キロの激安あきたこまちを購入した直後だったが、炊飯する気力が起きない日だってある。ざるそば、君に決めた。
そして真冬にざるそばを食べる運びとなった。冬の水道水でしめられた蕎麦はコシがあってなかなか美味かった。途中、味に飽きてきたらつゆに納豆を投入するのもお決まり。間違いがない。ところが食べれば食べるほど冷えていく体。なんたって今週はこの冬一番の冷え込み。
食べ終わってから確信した。いくら好物でも、時と場合によってはもろ手を挙げて喜べるものではない、と。
今日も寒さに震えながら春を待つ。