天と地とテノチティトラン2

私はロボットではありません

休暇の模様垂れ流し

あれだけ休暇を欲していたのに、いざ休暇となると何をすれば良いかわからない。結局判で押したかの如く喫茶店へ。まあ今日は新たな喫茶店を発見したから良しとしようか。

 

白身魚フライのレモンタルタルサンドと1杯目のアメリカンコーヒーを何も入っていない胃に流し込み、2杯目のアメリカンコーヒー(おかわり無料)を注文。持ってきた文庫本のしおりが挟まっている頁を開く。

 

小説を読む時間があるというのは素晴らしいことだ。人生にゆとりがある証拠とも言える。時間はギリギリ午前。素晴らしきサンデーモーニング

 

2杯目のアメリカンコーヒーを注ぐために、店員の男性がポットを右手に近づいてきた。俺はわざとらしく、コーヒーカップを彼の方向へずらす。ポットの中身を一滴残らずカップへ注いでくれる店員はどこか好感が持てた。いい喫茶店だ。

 

小説の世界へ戻ると、そこも偶然日曜日の朝だった。眠っていた主人公をノック音が起こす。どうやら部屋にある電話線の配電盤を取り替えにきた作業員らしい。一度読んだことのある小説だからこの配電盤がどのような運命を辿るのかは知っているが、それでもその世界に身を置くために文字を追った。結末へ向かう物語は一度読んでしまうともう読む気にならないが、何処へ向かうのかわからない(あるいは何処へ向かう気もない)物語は何度も読んでいる気がする。どこかで自分の人生に重ねているのかもしれない。

 

不意にスマートフォンの画面が明るくなり、開くと東京の友人からいかにも順風満帆という内容のメッセージが届いていた。久しぶりの連絡だった。彼は夢を現実の目標として捉えられている男だから、そうなることは疑いようのないことだ。羨ましいとも思わなかった。ただ凄いとしか感じなかった。

 

俺の夢は何だ?目標は?正直なところ何も無い。有名になりたいか?なりたくない。むしろ出来るだけ関わる人間の数は少ない方がいい。細々と生きたいかと言われれば、少しは余裕のある暮らしがしたい。つまんねー夢だ。

 

本を読むことにも、自分の人生に想いを巡らすことにも飽きたので、喫茶店を後にした。

 

とにかく人と会おう。そう思った。

1人でいることに慣れすぎていた自分はもはや消え失せていた。自分が軟弱な一般人でしかない事にもそろそろ気付いている。俺が欲しいのは金と休暇だ。通り一遍の労働者だ。

 

休暇はまだあと半日残っている。

思いっきり休暇をしよう。労働者として。

 

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