ピンチはチャンスだ!と意気込んでいた。
在宅勤務という実質何もせずただ規則正しい生活をするだけの時間を有効に生かそう、と思っていた。
待機さえしていれば、その間に曲を作っててもいいじゃないか。逆転の発想で自らテレワークの題材をこしらえる。いいじゃない。
しかしこの俺が、到底そのようなダブルワークをこなす事などできなかった。
何もしないということをしている以上、何もしないということ以外は何もできなかった。
何かをしなければという危機感は止めどなく俺の脳裏を超高速で通過していったが、あまりに高速すぎるので見逃してしまっていたようだった。
二つのことをいっぺんにできない。
それは何もしないということにおいてもそうだった。
何もしないということをするのは、なかなか大変だ。片手間ではできない。
ピンチはピンチでしかないように、何もしないということをすることは何もしないということをする他に何もすることができないということでもあった。
一言でいうと、堕落だ。
何かをするということをしている方が、案外何かすることをしているということの他に何かすべきことをすることができるということだ。
君はどう思う?